インプラント周囲炎になる原因とは?

インプラント周囲炎の直接の原因は、インプラントの周りに付いた細菌(プラーク)です。ただし、同じように手入れをしていても、なりやすい人となりにくい人がいます。この記事では、研究で明らかになっている「なりやすくなる要因(危険因子)」と、いま研究が進んでいる新しい考え方を歯周病専門医が解説します。

この記事のポイント

  • 直接の原因は、インプラントの周りに付いた細菌(プラーク)による炎症
  • 歯周病がある・あった方、喫煙者、糖尿病の方、定期的なメンテナンスを受けていない方はなりやすい
  • 性別・年齢については、まとめた分析では関係ははっきりしていない
  • インプラントから出る金属の粒子が関わっている可能性も研究されている

直接の原因は細菌(プラーク)

天然の歯の歯周病と同じように、インプラントの周りに細菌のかたまり(プラーク)が付くと、歯ぐきに炎症が起こります(インプラント周囲粘膜炎)。この炎症が続くと骨まで広がり、インプラントを支える骨が溶けていきます(インプラント周囲炎)。

なりやすくなる要因(危険因子)

2018年に発表された、多くの研究をまとめた分析(システマティックレビュー)では、次のように整理されています。

評価 要因 内容
危険因子とされたもの 歯周病がある・歯周病にかかったことがある 残っている歯の歯周病菌がインプラントにも影響すると考えられている
喫煙 喫煙者は、なるリスクが約1.7倍
糖尿病 糖尿病の方は、なるリスクが約2.5倍
定期的なメンテナンスを受けていない メンテナンスを受けていない方ほど多い
関係しないとされたもの 年齢、性別、上あごのインプラント 関連は認められなかった
まだ根拠が不十分なもの 骨粗しょう症、インプラントの周りの硬い歯ぐきの有無、インプラントの表面の性質、歯がまったくないこと 関係するかどうか、はっきりした結論は出ていない

出典:Dreyer H, et al. Epidemiology and risk factors of peri-implantitis: A systematic review. J Periodontal Res. 2018;53:657-681(数値はオッズ比)/Mombelli A, et al. Clin Oral Implants Res. 2012;23(Suppl 6):67-76

男性のほうがなりやすい?

男性に多いとする研究もありますが、複数の研究をまとめた分析では、性別との関係ははっきりしていません。性別よりも、歯周病や喫煙、メンテナンスの有無のほうが大きく影響すると考えられます。

歯周病の方こそ注意が必要

歯周病で歯を失ってインプラントにした方は、もともと歯周病になりやすい体質や細菌を持っていることがあります。インプラント治療の前に歯周病をしっかり治療し、治療後も残っている歯とインプラントの両方を管理していくことが大切です。

研究が進んでいる新しい考え方:金属の粒子

最近、インプラントの周りの組織から、ごく小さなチタンなどの金属の粒子が見つかることが報告されています。整形外科の人工関節では、すり減って出た金属の粒子が骨を溶かし、人工関節がゆるむ原因になることが知られています。インプラントでも同じようなことが起きていないか、研究が進められています。

ただし、金属の粒子がどのように出てくるのか、それがインプラント周囲炎の骨の破壊にどれだけ関わっているのかは、まだ分かっていません。現時点では「可能性のひとつ」として研究されている段階です。

出典:Fretwurst T, et al. Is Metal Particle Release Associated with Peri-implant Bone Destruction? An Emerging Concept. J Dent Res. 2018;97(3):259-265

院長も以前、このテーマについて関連する文献を研究し、「インプラントから出たチタンのナノ粒子が、細菌の刺激を受けた免疫細胞と組み合わさることで炎症を強めるのではないか」という仮説を立てて検討していました。細菌だけでなく、こうした新しい視点も踏まえて、インプラントの管理に取り組んでいます。

なりやすい要因がある方へ

  • 歯周病がある方は、インプラントの前後で歯周病の治療と管理を続ける
  • 喫煙されている方は、禁煙を検討する
  • 糖尿病の方は、血糖のコントロールを主治医と続ける
  • 定期的なメンテナンスを欠かさない

動画でも解説しています

関連ページ:インプラント周囲炎/インプラント周囲炎とは?どれくらいの確率でなる?/インプラント周囲炎を防ぐセルフケア方法/インプラント周囲炎を放置するとどうなる?

執筆:福嶋太郎(福嶋歯科医院 院長/日本歯周病学会 歯周病専門医)

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