何年も歯石取りに通っているのに歯周病が治らないのはなぜ?理由と治療の見直し方を歯周病専門医が解説

「何年も歯医者で歯石を取ってもらっているのに、歯ぐきから血が出る」「定期的に通っているのに、歯がぐらぐらしてきた」。当院には、このようなご相談で来られる方が少なくありません。

歯石取りに通い続けることは、とても大切なことです。ただ、歯周病がある程度進んでいる場合、いつものクリーニングだけでは良くならないことがあります。この記事では、その理由と、どうすればよいかを、日本歯周病学会の歯周病専門医が研究データをもとにご説明します。

理由1:深い歯周ポケットの中は、歯石を取りきるのが難しい

歯周病が進むと、歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)が深くなります。目に見える歯ぐきの上の歯石は取りやすいのですが、ポケットの奥にこびりついた歯石や細菌の膜(バイオフィルム)は、器具が届きにくく、取り残しが起こりやすくなります。

抜歯した歯を調べた研究では、歯周ポケットの深さが5mmを超えると、歯石を取りきれていた歯の面はわずか1割ほどでした(Rabbani 1981)。ふだんのクリーニングで歯ぐきの上がきれいになっていても、深いポケットの中に原因が残っていれば、炎症はおさまりません。

理由2:深いポケットが残ったままだと、悪化しやすい

歯周病の治療をしたあとも深いポケットが残った歯は、その後に歯を失いやすいことがわかっています。治療後の経過を平均11年追った研究では、6mm以上のポケットが残った歯は、歯を失うリスクが大きく高まっていました(Matuliene 2008)。

定期的なクリーニング(メインテナンス)は、歯周病の治療で良くなった状態を保つためのものです。深いポケットが残ったままメインテナンスを続けても、改善は期待しにくいのです。

理由3:歯周病を進める要因が残っている

喫煙や糖尿病は、歯周病を進めやすく、治療の効果も出にくくする要因です(欧州歯周病学会の診療ガイドライン、Sanz 2020)。また、歯並びが乱れている、歯が動いてすき間ができているなど、歯ブラシが届きにくい場所があると、汚れがたまりやすくなります。

どうすればよいか:まず「今の状態」を正確に知る

良くならない理由は人によって違います。まずは歯周病の検査で、次のことを確認します。

  • 歯周ポケットの深さと、検査のときの出血の有無(1本ごと・1か所ごと)
  • レントゲンで見た、歯を支える骨の減り方
  • 歯周病菌の検査(当院では40歳以上の初診の方に行っています)
  • 喫煙・糖尿病など、全身の要因

当院での治療の進め方

検査の結果をもとに、歯周病専門医が治療方針を決めます。歯周病の治療をやり直す方法は、大きく2つあります。

方法 内容
保険の歯周病治療 お口をいくつかのブロックに分け、数回に分けて歯ぐきの中の歯石を取り除きます。治療期間は数か月が目安です。
ペリソルブ療法を用いたFMD(自費) 薬剤で歯石や細菌の膜をやわらかくしてから取り除き、お口全体を短期間にまとめて治療します。歯周病専門医の方針のもと、歯科衛生士が担当します。

どちらの方法でも、治療のあとに再び検査をして、改善の程度を確かめます(再評価)。深いポケットが残った部位は、歯周外科治療や、骨の再生を促す再生療法を検討します。

ペリソルブ療法を用いたFMDの費用とリスク

内容 費用
(税込)
片顎 99,000円
両顎 165,000円
  • 自由診療です。検査・麻酔・必要な方への抗菌薬・洗口剤を含みます。
  • 使用する薬剤は国内では未承認です。
  • 治療後に一時的にしみる、歯ぐきが下がる、抗菌薬で胃腸の調子が悪くなるなどのことがあります。効果には個人差があります。

研究データや使用する薬剤について、詳しくはペリソルブ療法を用いたFMDのページをご覧ください。

「通っているのに良くならない」と感じたら

長く通っている医院があっても、歯周病の状態を一度詳しく確認することには意味があります。当院では、ほかの医院に通院中の方のご相談もお受けしています。初診では検査とご説明に約90分いただきます。その場で治療を決めていただく必要はありません。

Web予約の際、メモ欄に「歯周病の治療のやり直し相談」とご記入いただくと、担当者が事前に内容を確認できます。

Web予約はこちら

参考文献

  • Rabbani GM, Ash MM Jr, Caffesse RG. The effectiveness of subgingival scaling and root planing in calculus removal. J Periodontol. 1981;52(3):119-123.
  • Matuliene G, Pjetursson BE, Salvi GE, et al. Influence of residual pockets on progression of periodontitis and tooth loss: results after 11 years of maintenance. J Clin Periodontol. 2008;35(8):685-695.
  • Sanz M, Herrera D, Kebschull M, et al. Treatment of stage I-III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2020;47(Suppl 22):4-60.

執筆・監修:福嶋太郎(日本歯周病学会 歯周病専門医)/福嶋歯科医院(東京都多摩市・永山駅徒歩8分)

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