インプラントでも歯周病になるのか?

「インプラントは人工物だから、歯周病にはならない」と思われがちですが、実はインプラントにも歯周病によく似た病気があります。それが「インプラント周囲炎」です。この記事では、インプラントの歯周病とはどんな病気か、どれくらいの方がなるのか、防ぐ方法を歯周病専門医が解説します。

この記事のポイント

  • インプラントはむし歯にはならないが、歯周病によく似た「インプラント周囲炎」になる
  • 歯肉炎にあたる「インプラント周囲粘膜炎」と、歯周炎にあたる「インプラント周囲炎」がある
  • 研究では、インプラントを入れた方のおよそ2割がインプラント周囲炎になると報告されている
  • 歯周病で歯を失った方、喫煙者は特に注意。定期的なメンテナンスが欠かせない

インプラントの「歯周病」=インプラント周囲炎

歯肉炎

・インプラント:インプラント周囲粘膜炎

・状態:歯ぐきだけの炎症。治療で元に戻せる

歯周炎(歯周病)

・インプラント:インプラント周囲炎

・状態:骨まで溶ける。完全に元に戻すのは難しい

インプラント周囲炎は、インプラント治療が広く行われるようになってから注目されるようになった、比較的新しい病気です。治療法はいくつか報告されていますが、どの方法が最もよいかについては、今も世界中で研究が続いています(インプラント周囲炎は治らない?)。

どれくらいの方がなる?

患者さん1人あたり

・インプラント周囲粘膜炎:約47%

・インプラント周囲炎:約20%

インプラント1本あたり

・インプラント周囲粘膜炎:約29%

・インプラント周囲炎:約9%

出典:Lee CT, et al. Prevalences of peri-implantitis and peri-implant mucositis: systematic review and meta-analysis. J Dent. 2017;62:1-12

研究ごとの詳しいデータは「インプラント周囲炎とは?どれくらいの確率でなる?」で紹介しています。

天然の歯より注意が必要な理由

  • 痛みが出にくい:インプラントには神経がないため、骨が溶けていても気づきにくい
  • 炎症が広がりやすい:インプラントの周りの組織は血管が少なく、天然の歯に比べて炎症が骨まで広がりやすい
  • 汚れがたまりやすい形:かぶせ物との境目に段差があり、清掃が難しい

なりやすい方

研究では、歯周病がある・あった方、喫煙者、糖尿病の方、定期的なメンテナンスを受けていない方がなりやすいとされています(インプラント周囲炎になる原因)。インプラント治療を受ける方の多くは、歯周病で歯を失った経験があるため、特に注意が必要です。

防ぐために

  • インプラントの周りを重点的にみがく(インプラント周囲炎を防ぐセルフケア方法)
  • 喫煙されている方は禁煙を検討する
  • 残っている歯の歯周病も治療・管理する
  • 定期的なメンテナンスで、出血や骨の変化をチェックする

動画でも解説しています

関連ページ:インプラント周囲炎/インプラント周囲炎の初期症状/歯周病専門医が考えるインプラント

執筆:福嶋太郎(福嶋歯科医院 院長/日本歯周病学会 歯周病専門医)

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