再生療法について

失われた歯周組織を再生させる再生療法

歯周病が進行すると、歯と歯ぐきの隙間の歯周ポケットが深くなります。歯周ポケットの細菌が増殖することで、歯を支えている歯槽骨が溶けてしまいます。このような場合に行うのが、歯周組織の再生療法です。

多摩市永山の歯医者「福嶋歯科医院」では、歯周病によって破壊された歯周組織を再生する治療を行っています。「重度の歯周病で歯が残せないと言われた方」や「インプラント治療で顎の骨が足りないと言われた方」に向いている治療法です。

このページのポイント

  • 歯周病で失われた歯槽骨は、自然には元に戻らない。条件が合えば「再生療法」で一部を取り戻せる
  • エムドゲインを使うと、使わない手術より歯ぐきの付着が平均1.1mm多く回復した(研究のまとめ)
  • 向いているのは、骨が縦に深く溶けた部分(垂直性の骨欠損)など
  • 自由診療で、エムドゲインは1術野(4歯まで)220,000円(税込)

歯槽骨は自然に再生する?

歯周病で溶けてしまった歯槽骨(歯を支える骨)は、歯周病の治療をして炎症がおさまっても、自然に元の高さまで戻ることはほとんどありません。歯石を取る治療で歯ぐきの腫れは引き、歯周ポケットは浅くなりますが、失われた骨は残ったままです。

ただし、骨が「縦に深く」溶けた部分(垂直性の骨欠損)では、再生療法によって骨や歯を支える組織の一部を取り戻せる可能性があります。ヨーロッパ歯周病学会の診療ガイドライン(2020年)でも、深さ3mm以上の垂直性骨欠損が残った歯には、再生療法を行うことが推奨されています(1)。

再生療法でどれくらい良くなる?

エムドゲインについて13件の臨床試験をまとめた研究(コクラン・レビュー)では、手術から1年後、エムドゲインを使った方が使わない手術に比べて(2)、

項目 エムドゲインを使った場合の上乗せ(平均)
歯ぐきの付着の回復(アタッチメントゲイン) +1.1mm
歯周ポケットの改善 +0.9mm

という結果でした。一方で、研究ごとの結果のばらつきが大きく、歯を失う本数には差が見られなかったことも報告されています。また、メンブレンを使うGTR法とエムドゲインの効果に大きな差はなく、GTR法の方が術後のトラブル(膜の露出など)が多い結果でした(2)。

再生療法の結果は、骨の溶け方の形、喫煙、歯みがきの状態などに大きく左右されます。当院では、歯周病の基本治療で炎症をしっかりおさえてから、CTなどで骨の形を確認し、再生療法が向いているかを判断します。

再生療法の種類

骨を再生する治療

GTR法

失ってしまった骨を再生する再生療法は、術前の診査・診断が非常に重要です。再生療法ではプローブ検査に加えて、レントゲン検査やCT撮影などを行って、現在の口腔内の状態を正確に把握し、全体的な治療の流れを決めていきます。

歯槽骨の再生治療は「組織工学」に基づいて行われ、「組織工学の3要素」と呼ばれる足場・細胞・成長因子の3つの要素を安定化させることで、歯周組織が再生するのを促します。

GTR法

GTR法

「メンブレン」と呼ばれる特殊な膜を患部に貼り付けておくことで、破壊された顎の骨の再生を促します。歯を支える歯槽骨は成長するまでに時間がかかります。GTR法で使用するメンブレンは、骨を作りたい場所に「結合組織」や「上皮」といった軟組織が入り込むことを防ぎ、歯槽骨がゆっくり成長できるためのスペースを確保してくれる歯科材料です。

また、インプラント治療に必要な骨を作る「GBR」という治療もあり、同じくメンブレンを用いて再生を行います。

エムドゲイン

エムドゲイン

「エムドゲイン」というブタ由来の特殊なたんぱく質を使用して、歯周組織の再生を促す方法です。使用するのは生体由来の材料ですが、国内で薬事承認を受けている歯科材料です。

エムドゲインに含まれるアメロジェニンというタンパク質は、ヒトの歯が作られる過程で分泌されます。そのタンパク質を歯根に塗布することで、「歯根膜」を再生させ、歯槽骨を作る細胞を呼び出す効果があります。当院では、骨の欠損の形に応じて、骨の再生の足場となる骨補填材(Bio-Oss)と組み合わせて使用します。

PRGF‐Endoret®法

PRGF‐Endoret®法

患者様ご自身の血液を採血し、その場で「PRGF」を作成します。歯周組織が失われた部位へ移植することで、歯周組織の再生を促す再生治療です。血小板や成長因子を多く含むため、傷の治りを助ける働きが期待できます。

歯周病によって歯槽骨がなくなってしまった場合だけでなく、歯肉退縮に対する歯ぐきの再生や矯正治療前の歯肉の性状の改善などにも用いられる治療法です。

当院で使用している「PRGF‐Endoret®」は、白血球をほとんど含まないように血小板を濃縮する方法です。

採血が必要なこと、外科処置のため術後に腫れや痛みが出ることがあること、効果には個人差があることにご留意ください。自費診療(公的医療保険の適用外)です。

本治療は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」に基づき、再生医療等提供計画を厚生労働省に提出して実施しています(計画番号:PC3210013)。

PRGFを用いた症例を見る

歯ぐきを再生する治療

歯肉を移植する目的として多いのが、「歯周病によって硬い歯ぐきが失われてしまった場合」と「歯ぐきが下がって部分的に歯根が露出した場合」が該当します。硬い歯ぐきがなくなった場合、骨の裏打ちがない部分に歯肉を移植すると安定しない歯肉になってしまうため、骨の裏打ちがあることが重要な条件になります。

歯ぐきが下がってしまった場合は、露出した歯根を覆うように移植するため、露出してしまった面積が大きいと移植した歯ぐきが定着しづらくなります。採取できる歯肉にも限りがあるため、広い面積の歯肉移植を行う場合は数回にわたって治療を行うことになります。

SCTG(上皮下結合組織移植術)

SCTG(上皮下結合組織移植術)

歯ぐきが下がって歯根が露出していたり、プラークが溜まりやすい箇所に結合組織を移植する治療を「SCTG」と言います。上皮を残して結合組織だけを採取するため、術後の痛みが少ないのが特徴です。また、FGGと比べて周りの組織となじみやすいため、より自然で美しい歯ぐきを作ることができます。

SCTGは歯ぐきのボリュームを増やせるだけでなく、矯正治療後の歯ぐきの退縮防止を目的とした歯ぐきの性状改善や、歯間乳頭(歯と歯の間の三角形の歯ぐき)が潰れてしまった場合の再建にも有効です。

FGG(遊離歯肉移植術)

FGG(遊離歯肉移植)

「FGG」とは、歯肉が下がって歯周病が再発する危険性がある歯ぐきに対して、口蓋の上皮を移植する治療法です。移植する歯肉は、厚みがあるため丈夫な歯ぐきを作ることが可能です。その反面、色調が周りの歯肉と若干異なるという欠点があります。歯周病治療の一環として行うほか、インプラント治療などと併用して行うことがあります。

根面被覆

根面被覆

歯周病や矯正治療後などに歯ぐきが下がってしまった場合、歯肉を移植することで審美性を改善できる治療法が「根面被覆」です。この治療法では、結合組織を移植するので周りの歯ぐきと施術後の歯ぐきの色調が合いやすいのが特徴です。また、歯根が露出することにより起きる知覚過敏を抑制する効果も期待できます。

歯肉移植について

歯肉移植を行う場合、患者様の口腔内には「移植する側」と「移植片を採取してくる側」の2箇所の傷口ができます。移植片を採取する部位には「口蓋動脈」という太い血管があるため、血管があると予想される位置を避けて移植片を採取していきます。

採取した移植片は、最初の2日ほどは滲み出てくる血液によって生存するため、移植片の形を滑らかに整え、移植する部位にきっちりと縫合して密着させることで生着する確率を上げていきます。

採術後1週間後には移植片に血管網ができ、1ヶ月後までには生着するため、傷口が比較的早期に安定する治療方法です。

再生療法の費用

治療 費用
(税込)
エムドゲインを使った歯周組織再生療法 1術野(4歯まで)220,000円
GTR膜を使った再生療法 1術野 220,000円
PRGF-Endoret(エムドゲインと併用) 1術野 55,000円
遊離歯肉移植術(FGG) 88,000円
上皮下結合組織移植術(SCTG) 99,000円
根面被覆(エムドゲイン併用またはアロダーム使用) 1か所 121,000円

※自由診療(保険適用外)です。手術の前に歯周病の基本治療が必要です。歯ぐきの移植は、目的によって保険診療で行える場合があります(詳しくは歯茎再生治療の費用)。保険適用の再生療法についてはリグロスとエムドゲインの比較をご覧ください。料金は料金表もご覧ください。

リスク・注意点

  • 外科手術のため、術後に腫れ・痛み・内出血が出ることがあります
  • 再生の程度には個人差があり、期待したほど骨が回復しないことがあります
  • 歯ぐきが下がり、歯が長く見えたり、しみたりすることがあります
  • 喫煙や、歯みがきが不十分な状態では効果が出にくくなります
  • エムドゲインはブタ由来のたんぱく質を含む材料です(国内で承認されています)
  • 治療後も、定期的なメンテナンスを続けないと歯周病が再発することがあります

再生療法の症例

再生療法をもっと詳しく

参考文献
  1. Sanz M, et al. Treatment of stage I–III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline. J Clin Periodontol. 2020;47(Suppl 22):4-60.
  2. Esposito M, Grusovin MG, Papanikolaou N, Coulthard P, Worthington HV. Enamel matrix derivative (Emdogain®) for periodontal tissue regeneration in intrabony defects. Cochrane Database Syst Rev. 2009;(4):CD003875.

執筆:福嶋太郎(福嶋歯科医院 院長/日本歯周病学会 歯周病専門医)

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