インプラントで固定する入れ歯(ロケーター義歯)

入れ歯がずれる・外れる悩みは、インプラント2本からでも変えられます

このページのポイント

✅あごの骨に入れたインプラントの「ボタン」で、入れ歯をパチッと固定します

✅下の総入れ歯なら、インプラント2本が基本です

✅ご自分で取り外して洗えるので、お手入れがしやすい方法です

✅いまお使いの入れ歯を改造して使える場合もあります

この治療は「インプラントオーバーデンチャー」と呼ばれます。当院では、インプラントと入れ歯をつなぐ部品に「ロケーター」を使っています。そのため、このページでは「ロケーター義歯」と呼んでいます。

こんなお悩みはありませんか?

☑下の入れ歯が浮いてきて、話しにくい

☑食べ物が入れ歯の下に入って痛い

☑入れ歯安定剤が手放せない

☑上の入れ歯が大きくて、味が分かりにくい・吐き気がする

☑全部インプラントにするのは、費用や手術の負担が心配

ひとつでも当てはまる方は、ロケーター義歯が選択肢になります。少ない本数のインプラントで、入れ歯の安定を大きく変えられる方法だからです。

どうやって固定するの?

インプラントの頭に、ロケーターという小さな「ボタン」を取り付けます。入れ歯の裏側には、ナイロンでできた「受け」を埋め込みます。入れ歯を入れると、このボタンと受けがパチッとはまり、入れ歯が動きにくくなります。

ロケーター義歯のしくみ。インプラントの頭のロケーターに、入れ歯の裏のナイロン部品がはまって固定される

ロケーター義歯のしくみ。インプラントの頭のロケーターに、入れ歯の裏のナイロン部品がはまって固定される

外すときは、入れ歯のふちに指をかけて引き上げます。慣れれば数秒でできます。毎晩外して洗えるので、インプラントの周りも入れ歯も清潔に保ちやすくなります。

ふつうの入れ歯・固定式のインプラントと、何が違うの?

ロケーター義歯は、入れ歯とインプラントの「中間」にあたる治療です。違いを表にまとめました。

ふつうの
総入れ歯
ロケーター
義歯
固定式の
インプラント
インプラントの本数 0本 下あご2本〜
上あご4本が基本
片あご4〜8本程度
安定感 動きやすい 外れにくい 動かない
取り外し できる できる できない
お手入れ 外して洗う 外して洗う 歯ブラシ・専用器具で丁寧に
手術 なし あり(本数が少ない) あり(本数が多い)
費用 低い 中程度 高い

年齢を重ねて手の力が弱くなっても、取り外せる入れ歯なら、ご家族や介護の方がお手入れを手伝いやすくなります。将来のことまで考えて選べるのも、ロケーター義歯の特長です。

インプラント・入れ歯・ブリッジの違いは「インプラントと入れ歯・ブリッジの違い」でも解説しています。

どんな人に向いているの? 4つの治療パターン

① 下の総入れ歯を、インプラント2本で固定する

もっとも基本的な方法です。下の入れ歯は舌や頬に押されて浮きやすいため、2本のインプラントで固定するだけでも、安定感が大きく変わります。

② 上の総入れ歯を、インプラント4本を基本に固定する

上あごは骨がやわらかいことが多いため、4本を基本にしています。骨の量や質、かみ合わせによっては、本数を増やしたり、インプラント同士をつないで支えたりすることもあります。安定すれば、上あごを覆う部分(口蓋)を小さくできる場合もあります。味や温度を感じやすくなり、話しやすくなることが期待できます。

③ いまお使いの入れ歯を改造して使う

入れ歯の形やかみ合わせに大きな問題がなければ、お使いの入れ歯の裏にロケーターの受けを取り付けて使える場合があります。慣れた入れ歯をそのまま生かせるのが利点です。

④ 部分入れ歯の安定にも使う

奥歯がない部分入れ歯では、残っている歯にかけるバネ(クラスプ)に負担が集中しがちです。インプラントを1〜2本加えて支えにすると、入れ歯が沈みにくくなり、残っている歯の負担も減らせます。

どのパターンが合うかは、骨の量・かみ合わせ・残っている歯の状態で変わります。まずはCTで確認してからご提案します。

本当に効果があるの? 論文で分かっていること

下の総入れ歯は「インプラント2本で固定する入れ歯」を最初の選択肢に――2002年のマギル合意声明1)と、2009年のヨーク合意声明2)で、専門家がそう提言しています。

  • 満足度:65〜75歳の方を対象にした比較試験3)では、2本のインプラントで固定した入れ歯のほうが、ふつうの総入れ歯より、全体の満足度・安定感・かみやすさが高くなりました。
  • まとめた分析:7つの比較試験をまとめた分析4)でも、満足度ははっきり高くなっていました。
  • 上あごの注意点:上あごでは、4本以下のインプラントを連結せずに使うと、インプラントが抜けるリスクが高くなるという報告があります5)。当院では、上あごは4本を基本とし、CTで骨の状態を確かめたうえで、本数や連結の方法を調整します。

福嶋歯科医院のロケーター義歯で大切にしていること

歯周病専門医が、インプラントの周りまで守ります

入れ歯を外せる分、インプラントの周りは清掃しやすくなります。それでも、歯周病の既往がある方はインプラント周囲炎のリスクが高くなります。日本歯周病学会の歯周病専門医が、治療前の歯ぐきの状態から確認します。

入れ歯の形から逆算して、インプラントの位置を決めます

ロケーター義歯では、入れ歯の中にボタンと受けが収まる位置にインプラントを入れることが大切です。CTと口の中のスキャンデータで3Dの計画を立て、手術用ガイドを使って手術します。実際の計画画面は「インプラント治療の流れ」でご覧いただけます。

インプラントの周りに「硬い歯ぐき」を確保します

入れ歯を長く使ってきた方は、インプラントの周りの硬い歯ぐき(角化粘膜)が少ないことがよくあります。足りない場合は、歯肉移植でつくることを検討します。歯ブラシが当たっても痛みにくく、汚れが残りにくい環境にするためです。

ナイロン部品の交換まで、定期検診で見守ります

ロケーターの受け(ナイロン部品)は、使ううちにすり減って、はまりがゆるくなります。論文でも、いちばん多いお手入れは「ゆるみ」と「ナイロン部品の交換」と報告されています6)。定期検診でゆるみを確認し、必要なときに交換します。交換は短時間で済みます。

治療の流れと期間は?

STEP1

相談・検査:入れ歯のお悩みをうかがい、CTと口の中のスキャンで骨と歯ぐきを確認します。

STEP2

計画・ご説明:入れ歯の形から逆算してインプラントの位置を決め、費用と期間をご説明します。

STEP3

インプラント手術:手術用ガイドを使ってインプラントを入れます。手術後も、調整した入れ歯を使っていただけます。

STEP4

骨とつくのを待つ:下あごで約2〜3か月、上あごで約3〜6か月が目安です。

STEP5

ロケーターの取り付け:インプラントにロケーターを取り付け、入れ歯に受けを組み込みます(新しく作る場合は、型取りから進めます)。

STEP6

定期検診:インプラントの周りの清掃と、ナイロン部品のゆるみを確認します。

費用はどのくらい?

項目 費用
(税込)
インプラント埋入(1本) 484,000円〜
※5年保証の登録料を含みます
ロケーター(アバットメントと入れ歯側の受け、1か所) 88,000円
ロケーター用義歯(新しく作る場合) 220,000円〜
※床はコバルトクロム
お使いの入れ歯の改造 入れ歯の状態によって異なります
※診査のうえでお見積りします
ナイロン部品の交換(1個) 4,400円
※使い方によってすり減るため、ゆるくなったら交換が必要です

費用の例:下の総入れ歯をインプラント2本で固定する場合

インプラント2本とロケーター2か所で 1,144,000円(税込)+入れ歯の費用

すべて自由診療です。骨が足りず骨造成が必要な場合は、別途費用がかかります。詳しくは「料金表」をご覧ください。

リスク・副作用について

  • 手術後に、腫れ・痛み・内出血が出ることがあります。
  • インプラントが骨とつかない場合や、使っているうちに抜けることがあります。上あごで、少ない本数を連結せずに使う場合は、そのリスクが高くなるという報告があります5)。
  • ナイロン部品はすり減るため、定期的な交換が必要です。入れ歯の裏の調整(裏打ち)が必要になることもあります。
  • お手入れや定期検診をおろそかにすると、インプラント周囲炎になることがあります。
  • 骨粗しょう症のお薬や糖尿病、喫煙などの状態によっては、治療をおすすめできない場合があります。

よくあるご質問

Q. インプラント2本だけで、本当に安定しますか?

A. 下あごであれば、多くの場合2本で十分な安定が得られます。複数の比較試験で、ふつうの総入れ歯より満足度やかみやすさが高いことが分かっています3,4)。上あごは骨がやわらかいため、4本を基本に、お口の状態に合わせて本数を決めます。

Q. 寝るときは外すのですか?

A. 基本的には、夜は外して入れ歯を洗い、お口を休ませることをおすすめしています。インプラントの周りも、外した状態で歯ブラシで清掃します。

Q. いま使っている入れ歯は、そのまま使えますか?

A. 入れ歯の合いやかみ合わせに大きな問題がなければ、改造して使える場合があります。合っていない場合や、割れやすい状態の場合は、新しく作ることをおすすめします。

Q. 手術中・手術後も、入れ歯は使えますか?

A. はい。インプラントに負担がかからないよう入れ歯を調整して、使っていただけます。「歯がない期間」はありません。

Q. 将来、固定式のインプラントに変えることはできますか?

A. 骨の量やインプラントの位置によっては、インプラントを追加して固定式に移行できる場合があります。最初の計画の段階で、将来の選択肢も含めてご相談ください。

Q. ほかの医院で入れたインプラントにも、ロケーターは付けられますか?

A. インプラントのメーカーや種類によって、対応する部品があるかどうかが変わります。メーカーが分かるものをお持ちいただくか、CTやX線写真で確認してからお答えします。

まずは、いまの入れ歯をお持ちになってご相談ください

「今の入れ歯が使えるか」「インプラントは何本必要か」は、お口とCTを見ればお答えできます。入れ歯の悩みを、そのまま話していただくだけで大丈夫です。

お電話:042-389-0281(診療時間 8:30〜12:30/14:00〜17:30)

参考文献

  1. Feine JS, Carlsson GE, Awad MA, et al. The McGill consensus statement on overdentures. Mandibular two-implant overdentures as first choice standard of care for edentulous patients. Gerodontology. 2002;19(1):3-4.
  2. Thomason JM, Feine J, Exley C, et al. Mandibular two implant-supported overdentures as the first choice standard of care for edentulous patients – the York Consensus Statement. Br Dent J. 2009;207(4):185-186.
  3. Thomason JM, Lund JP, Chehade A, Feine JS. Patient satisfaction with mandibular implant overdentures and conventional dentures 6 months after delivery. Int J Prosthodont. 2003;16(5):467-473.
  4. Emami E, Heydecke G, Rompré PH, et al. The impact of implant-support for mandibular dentures on satisfaction, oral and general health-related quality of life: a meta-analysis of randomized-controlled trials. Clin Oral Implants Res. 2009;20(6):533-544.
  5. Raghoebar GM, Meijer HJA, Slot W, et al. A systematic review of implant-supported overdentures in the edentulous maxilla, compared to the mandible: how many implants? Eur J Oral Implantol. 2014;7 Suppl 2:S191-S201.
  6. Miler AMQP, Correia ARM, Rocha JMC, et al. Locator® attachment system for implant overdentures: a systematic review. Stomatologija. 2017;19(4):124-129.