歯根端切除術

抜歯と言われた歯を残すための選択肢
歯根端切除術(エンドドンティック・マイクロサージェリー)

根管治療(歯の根の治療)を何度くり返しても、根の先の膿や腫れが治らない。そんなときに、歯ぐきの側から根の先を直接きれいにして、歯を残すための外科処置が「歯根端切除術」です。

多摩市永山の「福嶋歯科医院」では、CT(CBCT)による診断と手術用顕微鏡、MTAセメントを用いたモダンテクニックで歯根端切除術を行っています。院長は根の先の病気を「根の先の歯周病(根尖性歯周炎)」ととらえ、歯周病専門医として歯を残す治療に取り組んでいます。

根の先の歯周病「根尖性歯周炎」

根尖性歯周炎の模式図

根尖性歯周炎は、歯の根の中(根管)に入った細菌が根の先から外に出て、まわりの骨を溶かしてしまう病気です。歯ぐきの縁から進む一般的な歯周病とは入口が違いますが、細菌によって歯を支える組織が壊されるという点では同じ「歯周組織の病気」です。

多くの場合は根管治療で治りますが、次のような理由で治らないことがあります。

  • 根の形が複雑:根の先端3mmほどには、器具が届かない細い枝分かれがよく見られます
  • 根の外に細菌がすみついている:根の先の外側に細菌の膜ができると、根の中をいくらきれいにしても届きません
  • 根の中に処置できないものがある:取り外すと歯が割れるおそれのある土台(ポスト)や、折れた器具などがある場合です

歯根端切除術とは

歯根端切除術の手順

歯根端切除術は、歯ぐきを開いて根の先の病巣を取り除き、細い枝分かれが集まる根の先端3mmを切り取ったうえで、根の先を薬剤(MTAセメント)で封鎖する手術です。根の中からは届かなかった感染源を、外側から直接取り除くことができます。

モダンテクニックと従来法の違い

歯根端切除術は、手術用顕微鏡や専用の器具を使う「モダンテクニック(エンドドンティック・マイクロサージェリー)」が登場して、成績が大きく変わりました。

項目 従来法 モダンテクニック(当院)
見え方 肉眼 手術用顕微鏡で拡大
骨を削る範囲 大きい 直径4mmほどと小さい
根の切り方 斜めに大きく切る 歯の軸に対してほぼ直角に3mm
根の先の穴あけ 回転する器具(バー) 超音波の専用器具で3mm
根の先を詰める材料 アマルガムなど MTAセメント
研究での成功率 約59% 約94%

モダンテクニックと従来法を比べた研究のまとめ(2010年)では、成功率は従来法が約59%、モダンテクニックが約94%でした(1)。当院では、手術前にCT(CBCT)で根の形や周囲の骨・神経の位置を立体的に確認し、手術用顕微鏡、超音波の専用器具、手術用の45度に曲がったハンドピース(5倍速コントラ)、MTAセメントを用いて手術を行っています。

研究でわかっている治療成績

研究 経過期間 対象 成功率
Rubinstein & Kim 1999(2) 1年 94歯 96.8%
Rubinstein & Kim 2002(3) 5〜7年 59歯 91.5%
Saunders 2008(4) 平均18か月 276歯 88.8%
Christiansen ほか 2009(5) 1年 51歯 96.0%

モダンテクニックでは、おおむね9割で良好な結果が報告されています。ただし、ここでいう「成功」には、骨が完全に元通りになった「完全治癒」と、症状がなく病変が小さくなって経過を見ている「不完全治癒」が含まれます。MTAセメントを使った研究では、完全治癒が64%、不完全治癒が28%、合わせて92%でした(6)。根の先の病変がレントゲン上で完全に治るのは6〜7割程度と考えてください。

適応となるケース・適応とならないケース

適応となるケース 適応とならないケース
根管治療をしても治らない膿や腫れ・痛み 歯の根が割れている(歯根破折)
土台(ポスト)や被せ物を外すと歯が割れるおそれがある 歯周病で歯を支える骨がほとんど残っていない
根の中で折れた器具や、根に開いた穴があり、根の中から処置できない 被せ物のすき間から細菌が入っていて、先に被せ物のやり直しが必要
診断のために根の先を直接確認する必要がある 全身の病気などで外科処置が難しい

歯根端切除術は根管治療の代わりではありません。まずは根管治療が第一選択であり、根管治療で解決できない場合や、根の中からの処置が適切でない場合に検討します。

当院の症例

項目 内容
部位 右上の前歯(側切歯)
治療内容 MTAを用いた歯根端切除術(モダンテクニック)
手術日・経過 2021年9月に手術。術後5年以上経過し、良好に経過しています
治療回数・期間 手術1回(約90分)、約2週間後に抜糸。その後は経過観察
費用 132,000円(税込・前歯の場合)
主なリスク・副作用 術後の腫れ・痛み・内出血、歯ぐきが下がること、まれにしびれ(詳しくは下の「リスク・副作用」をご覧ください)

歯根端切除術後のレントゲン写真
術後のレントゲン写真(根の先がMTAセメントで封鎖されています)

手術中の写真を見る(出血を含む写真です)
骨の窓から見える根の先
①小さな骨の窓から根の先を確認
根の先を切除した状態
②根の先端3mmを切除し、病巣を除去
切除した根の先
③切り取った根の先
縫合後の状態
④歯ぐきを戻して縫合

※写真の掲載は患者さんの同意を得ています。治療結果には個人差があります。

治療の流れ

ステップ 内容
1. 検査・診断 レントゲンとCT(CBCT)で、根の形、病変の大きさ、周囲の骨や神経の位置を確認し、歯根端切除術が適しているかを判断します
2. 手術 局所麻酔をして、手術用顕微鏡で拡大して見ながら行います。所要時間は約90分です
3. 術後の確認 必要に応じて、術後1〜2日にお口の状態を確認します
4. 抜糸 手術の約2週間後に抜糸します
5. 経過観察 定期的にレントゲンで骨の回復を確認します

料金

部位 費用(税込)
前歯 132,000円
小臼歯・大臼歯 154,000円
手術を中止した場合(下記参照) 33,000円

※自由診療(保険適用外)です。料金は料金表もご覧ください。

リスク・副作用

  • 手術の中止:歯ぐきを開いて確認した結果、歯の根が割れていることがわかった場合は、歯を残すことが難しいため手術を中止することがあります。その場合も、治療費として33,000円(税込)がかかります
  • 術後の腫れ・痛み・内出血:数日間、腫れや痛みが出ることがあり、頬や唇のまわりに一時的に内出血(あざ)が出ることもあります
  • しびれ・感覚の異常:下の奥歯の近くには、下くちびるやあごの感覚をつかさどる神経の通り道(下歯槽管・おとがい孔)があるため、まれに術後にしびれなどが出ることがあります。上の前歯でも、近くを通る神経の影響で、前歯の裏側の歯ぐきや上くちびるのあたりに同様の症状が出ることがあります。多くの場合は時間とともに回復し、当院でこれまで手術を受けた患者さんで、しびれが残った方はいません
  • 歯ぐきの変化:歯ぐきがわずかに下がったり、切開した部分に線状の跡が残ったりすることがあります
  • 再発:病変が治りきらない、または再発する場合があり、その場合は再手術や抜歯を検討することがあります

参考文献

  1. Setzer FC, et al. Outcome of endodontic surgery: a meta-analysis of the literature—part 1: comparison of traditional root-end surgery and endodontic microsurgery. J Endod. 2010;36(11):1757-1765.
  2. Rubinstein RA, Kim S. Short-term observation of the results of endodontic surgery with the use of a surgical operation microscope and Super-EBA as root-end filling material. J Endod. 1999;25(1):43-48.
  3. Rubinstein RA, Kim S. Long-term follow-up of cases considered healed one year after apical microsurgery. J Endod. 2002;28(5):378-383.
  4. Saunders WP. A prospective clinical study of periradicular surgery using mineral trioxide aggregate as a root-end filling. J Endod. 2008;34(6):660-665.
  5. Christiansen R, et al. Randomized clinical trial of root-end resection followed by root-end filling with mineral trioxide aggregate or smoothing of the orthograde gutta-percha root filling—1-year follow-up. Int Endod J. 2009;42(2):105-114.
  6. Lindeboom JA, et al. A comparative prospective randomized clinical study of MTA and IRM as root-end filling materials in single-rooted teeth in endodontic surgery. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod. 2005;100(4):495-500.

関連ページ:歯周病治療/歯の神経の温存療法(MTA)/虫歯・根管治療

歯周病専門医が在籍する
永山の歯医者 「福嶋歯科医院」

WEB診療予約