
「インプラント周囲炎は治らない」と聞いて、不安に感じている方もいるかもしれません。結論から言うと、初期の「インプラント周囲粘膜炎」であれば治すことができます。一方、骨まで溶けた「インプラント周囲炎」を完全に元どおりにするのは難しく、早く見つけて進行を止めることが大切です。この記事では、段階ごとの治りやすさと治療法を歯周病専門医が解説します。
この記事のポイント
- 初期の「インプラント周囲粘膜炎」は、清掃と治療で元の健康な状態に戻せる
- 骨まで溶けた「インプラント周囲炎」は、完治させるのが難しい
- インプラント周囲炎でも、治療で進行を止め、インプラントを長く使える場合がある
- 早期発見のために、定期的なメンテナンスとレントゲン検査が欠かせない
段階によって「治りやすさ」が違う
インプラント周囲粘膜炎
・状態:インプラントの周りの歯ぐきだけに炎症がある。骨は溶けていない
・治りやすさ:清掃と治療で元に戻せる
インプラント周囲炎
・状態:炎症が骨まで広がり、インプラントを支える骨が溶けている
・治りやすさ:完治は難しい。治療で進行を止めることが目標
進行したインプラント周囲炎
・状態:骨の吸収が大きく、インプラントが揺れることもある
・治りやすさ:撤去が必要になることがある
インプラント周囲炎が治りにくい理由
- 表面がザラザラしている:インプラントは骨とくっつきやすいよう表面に細かな凹凸があり、一度細菌が付くと取り除きにくい
- ネジ山の形:骨が溶けてネジ山が露出すると、器具が届きにくい
- 痛みが出にくい:天然の歯と違って神経がないため、気づいたときには進行していることが多い
- 治療法の研究が続いている:治療法はいくつか報告されていますが、どの方法が最もよいかはまだ研究が続いています
主な治療法
清掃・セルフケアの改善
インプラントの周りの汚れを専用の器具で取り除き、歯みがきの方法を見直す
非外科的治療
歯ぐきを切らずに、インプラントの周りを清掃・消毒する。粘膜炎には効果が高いが、周囲炎では効果が限られることがある
外科的治療
歯ぐきを開いてインプラントの表面を直接清掃する。骨の形によっては、骨を再生させる治療を組み合わせる
インプラントの撤去
骨の吸収が大きい場合や、治療してもくり返す場合に検討する
放置した場合にどうなるか、撤去の目安については「インプラント周囲炎を放置するとどうなる?」で詳しく解説しています。
いちばん大切なのは早期発見
インプラント周囲粘膜炎の段階で見つけられれば、治療で元に戻すことができます。インプラント治療を受けた方は、症状がなくても定期的に歯科医院でメンテナンスを受け、歯ぐきの検査やレントゲン撮影で骨の状態を確認しましょう。出血や腫れなど気になる症状があれば、早めに受診してください(インプラント周囲炎の初期症状)。
治療すれば、どのくらい良くなるの?
多くの方で炎症は落ち着きますが、すべての方が治りきるわけではありません。ヨーロッパ歯周病学会のガイドラインでも、外科治療で改善する一方、治療後も炎症が残る場合があるとされています(Herrera 2023)。
結果を左右するのは、次の4つです。
骨の溶け方の形
すり鉢のように囲まれた形の欠損は、骨を再生させる治療を組み合わせやすい形です
毎日のセルフケア
治療で汚れを取っても、毎日の清掃が続かないと再発しやすくなります
定期的なメンテナンス
3か月ごとなど、決まった間隔で歯ぐきと骨をチェックします
喫煙・糖尿病
どちらも治りを悪くします。禁煙や血糖のコントロールも治療の一部です
当院では、どう治療を決めるの?
まずレントゲンと歯科用CTで、骨がどこまで、どんな形で溶けているかを確かめます。そのうえで、清掃・切らない治療・外科治療・撤去のどれが合うかを、メリットとリスクを比べて一緒に決めます。
費用は「料金表」をご覧ください。
今日からできること
✅インプラントのまわりを、鏡で見て赤みや腫れがないか確かめましょう
✅歯みがきのときに血が出ないか、注意して見てみましょう
✅前回のメンテナンスから半年以上あいていたら、予約を入れましょう
動画でも解説しています
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