歯周病の細菌検査orcoa(オルコア)とは?45分でわかる歯周病菌リスクを歯周病専門医が解説

「歯周病です」と言われても、目に見えない細菌の話はピンときにくいものです。当院では、歯周病の原因となる細菌を、その日のうちに数値で確認できる細菌検査「orcoa(オルコア)」を行っています。この記事では、検査でわかること、研究データ、当院での検査の流れと結果に応じた治療の進め方を、歯周病専門医が解説します。

この記事のポイント

  • 歯周病は細菌感染症。特にP.g菌など「レッドコンプレックス」と呼ばれる3種類の菌が重症化に深く関わる
  • orcoaは、歯間ブラシでとったプラークから歯周病菌の遺伝子を調べ、約45分で結果がわかる検査
  • 当院では40歳以上の初診の方全員に検査を行い、歯周病のリスクを5段階で評価
  • 結果に応じて、メンテナンスの間隔や治療の内容を一人ひとりに合わせて決めています

歯周病は「細菌」が引き起こす病気です

お口の中には700種類以上の細菌がいますが、歯周病を進行させる細菌は一部です。なかでも、P.g菌(ポルフィロモナス・ジンジバリス)、T.f菌(タンネレラ・フォーサイシア)、T.d菌(トレポネーマ・デンティコーラ)の3種類は「レッドコンプレックス」と呼ばれ、歯周病の進行と強く関係することが知られています(1)。

さらにP.g菌には、毛のような構造(線毛)の形によっていくつかの型があります。日本人を対象にした研究では、II型のP.g菌を持つ人は、歯周病である可能性が約44倍高いという結果が報告されており、特に病原性が高い型と考えられています(2)。

これまでの歯周病検査 細菌検査(orcoa)
歯周ポケットの深さ、出血、歯の揺れ、レントゲンなど 歯周病の原因となる細菌がいるか、どのくらいいるか
すでに起きた「結果」を調べる 病気の「原因」を調べる

歯周ポケットの検査とあわせて細菌を調べることで、今の歯周病の勢いや、これから悪くなりやすいかどうかを考える手がかりになります。

orcoa(オルコア)とは

orcoaは、歯科医院の中で歯周病菌の遺伝子(DNA)を調べることができるPCR検査装置です。これまで歯周病菌の遺伝子検査は、検体を外部の検査機関に送るため、結果が出るまでに10日前後かかっていました(3)。orcoaでは、検体をとってから約45分で結果がわかるため、その日のうちに結果をご説明できます。

項目 内容
検体のとり方 歯と歯の間に専用の歯間ブラシを数回通して、プラーク(歯垢)をとります。ほとんど痛みはありません
結果が出るまで 約45分
調べられる菌 P.g菌(すべての型)、P.g菌(II型)、T.f菌、T.d菌
結果の表し方 0〜5000の数値で、菌の量の目安を表示

orcoaの数値の見方

研究でわかっている検査の精度

徳島大学の研究(2025年)では、歯周病の患者さん62人を対象に、orcoaの結果と、外部の検査機関で行う従来の遺伝子検査(PCR-インベーダー法)の結果を比べました。その結果、P.g菌の値は従来の検査と強く相関しており(相関係数0.88)、従来の検査でP.g菌が見つかった人は、orcoaでもすべて検出されていました(感度100%)。一方で、従来の検査で見つからなかった人の一部(約13%)は、orcoaで「検出」と判定されていました(3)。

つまりorcoaは、菌の見落としは少ない一方で、やや多めに「検出」と出ることがある検査です。また、この研究は装置の提供をメーカーから受けて行われています。

当院の細菌検査の流れ

福嶋歯科医院の細菌検査(orcoa)の流れ

当院では、40歳以上で初診の方には全員、この細菌検査を行っています。まずP.g菌の検査(スクリーニング)を行います。スクリーニングで菌が多く見つからなければ、検査はここで終わります。確定検査が必要と判断した場合は、P.g菌が見つかった方は特に病原性が高いとされるII型かどうかを、見つからなかった方はT.f菌とT.d菌を調べます。この結果から、歯周病のリスクを5段階で評価し、治療の進め方を決めています。

結果に応じた治療の進め方

リスク 当院での主な対応
リスク高+・リスク高 メンテナンスは1か月に1回。歯周病の状態に応じて、ペリソルブ療法を用いたFMDや抗菌薬(アジスロマイシン)の併用を検討します
リスク中+・リスク中・リスク低 メンテナンスは3か月に1回。歯周ポケット検査の結果とあわせて、必要な治療を行います
  • 治療後の再検査:歯周病の治療後に再検査を行い、菌の数値がどう変わったかを確認します。FMDなどの治療を行った方は、治療の3か月後に再検査を行います
  • インプラント治療の前に:インプラントの手術前に検査を行い、歯周病菌がコントロールできていることを確認してから治療を進めます。インプラントの患者さんを対象にした研究では、お口のケアが良好な方では、インプラントのまわりのP.g菌は装着後6か月まで増えなかったと報告されています(4)

料金

メニュー 費用(税込)
細菌検査(orcoa)1菌種あたり 3,300円
スクリーニング(P.g菌)のみ 3,300円
スクリーニング(P.g菌)+確定検査(P.g菌II型) 合計6,600円
スクリーニング(P.g菌)+確定検査(T.f菌・T.d菌) 合計9,900円

※自由診療(保険適用外)です。スクリーニングの結果、菌が多く見つからなかった場合は、確定検査は行わずスクリーニングのみで終わります。確定検査が必要な場合は、調べる菌の数によって合計金額が変わるため、事前にご説明します。

検査を受ける前に知っておいていただきたいこと

  • orcoaは医療機器や体外診断用医薬品ではなく、分析機器です。歯周病の診断は、歯周ポケット検査やレントゲンなどとあわせて歯科医師が総合的に行います
  • 表示される数値は菌の数そのものではなく目安です。検体のとり方や状態によって数値がぶれることがあります
  • 歯間ブラシでとるため、主に歯周ポケットの浅い部分の菌を調べています
  • 菌が見つからなくても、歯周病がないことを保証するものではありません

参考文献

  1. Socransky SS, et al. Microbial complexes in subgingival plaque. J Clin Periodontol. 1998;25:134-144.
  2. Amano A, et al. Prevalence of specific genotypes of Porphyromonas gingivalis fimA and periodontal health status. J Dent Res. 2000;79:1664-1668.
  3. 二宮雅美, 植村勇太, 湯本浩通. 簡易PCR装置を用いた歯周病原細菌red complex迅速検出システムの有用性の検討. 日本臨床歯周病学会会誌. 2025;43:1-9.
  4. Saito M, et al. Changes in the bacterial amount of Porphyromonas gingivalis in the natural teeth and peri-implant gingival pockets before and after dental implant treatment. Jpn J Clin Dent. 9(1):58-.

関連ページ:歯周病治療/ペリソルブ療法を用いたFMD/料金表

執筆:福嶋太郎(福嶋歯科医院 院長/日本歯周病学会 歯周病専門医)

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